1.探究科とは?武蔵野東学園の「問い」を育む教育
武蔵野東学園 武蔵野東中学校が独自に設けた「探究科」は、教科学習の枠を超え、生徒自身が「問い」を立て、オリジナルの「答え」を発見するプロセスを重視する教科です(参考:探究する心 « 武蔵野東中学校)。1年次5月から2年次12月までの約1年半、週1時間の正課授業で実施され、知識伝達型ではなく、思考・判断・表現といった「生きる力」を育むことを狙いとしています。
2.探究科の授業構成と流れ
(1)入門フェーズ(1年次5〜6月)
思考法や情報収集の基礎、アウトプットの技術など、「探究」の土台を学習。武蔵野東学園オリジナル教材と教員による講義形式で扱われます。
(2)基礎フェーズ(1年次7〜11月)
自然科学・人文社会・創作(文芸・美術・音楽)など専門性の異なる6コースのゼミに分かれ、調査・実験・フィールドワーク・創作を通して探究スキルを実践的に習得。11月の学園祭では成果を展示発表する機会もあります。
(3)実践フェーズ(1年次11月〜2年次11月)
ゼミで学んだ探究プロセスをベースに、個人の関心からオリジナルの「問い」を立てて研究を深めます。週1回35分+学期外の活動時間において、中間報告や最終プレゼンを通してアウトプット力を高め、11月の学園祭で展示発表+代表者によるプレゼンテーションを行います。
3.育まれる力と学びの質的転換
探究科を通じて培われる主な力は次の3つです:
- 【問う力】 自ら問いを立て、問い続ける姿勢。
- 【探究する力】 仮説設定・調査・分析・検証を繰り返すプロセス。
- 【訴求する力】 他者を納得させる表現力・まとめる力。
これらは思考力・判断力・表現力として、教科を超えた本質的な学びへと昇華されます。Noteによるレポートでも、「調査・分析・まとめ・発表までを行う“自分で学びをつくる”授業」として高く評価されており、学力より「学びに向かう姿勢」を育む点が強調されています(参考:「問い」を持てる中学生は強い —— 武蔵野東中学校の探究科を見て思うこと)。また、旺文社全国学芸サイエンスコンクールなどで入賞し、社会的認知も得ています(参考:武蔵野東中学校2023|学校特集|首都圏模試センター)。
4.社会との接続を意識したテーマ設定
探究科では、自ら設定した問いが「社会や世界の誰かに役立つ」視点が必須です。環境問題・福祉・動物保護・アニメ・鉄道など多様なテーマが可能で、形式も論文だけでなく絵本、映像、CMなど多様な表現形式が認められています。公共性と創造性を通じ、探究が自分のキャリアや将来像へと自然に繋がるのが大きな特色です。
5.環境と学びを支えるアドバイザー&図書室
5,000冊以上の蔵書を誇る図書室や司書教諭のサポート体制があり、生徒の探究活動を資料面で豊かにします。また、専科教員がアドバイザーとして伴走することで質の高い探究がサポートされますが、基本姿勢は「主体的に自ら考える姿勢」を尊びます。
6.成績や進路と探究科の関係
中学3年からは習熟度別の特別進学ゼミが設けられ、高校受験・大学受験を見据えた学力強化も並行して行われます。探究科によって身につく「情報リテラシー」「論理的思考」「初見資料への対応力」は入試改革における資料対応型問題や小論文、面接などでも有利にはたらきます。実際に高倍率の都立進学重点校や難関私立に多く合格しています。
7.探究科が人生にどう生きるか
- 自己肯定感の向上
「考える過程」と「頑張り」が認められる文化が強く、自己肯定感が育ちやすい環境です。 - 探究力は社会課題への第一歩
問いを立て、考え続ける経験は、企業研修や大学プロジェクト、社会起業などで不可欠な力となります。 - 多様な表現力
創作や発表を伴う探究科は、説得力・共感力を鍛え、コミュニケーション全般に有利に働きます。 - 主体性と自律性
「問い→調査→検証→表現」という自律的学習サイクルを中学時代から体験することで、将来の学びや仕事の中でも自律的に取り組む力が培われます。 - 協働力と社会性
ゼミや発表の場で論点を磨き合う活動は、チームワークやリーダーシップに直結します。
8.まとめ:武蔵野東中学校 探究科の魅力と未来への展望
- 教育の核に「問い」がある:武蔵野東学園は、自ら問いを立て、考察・表現する「力」を中学段階から継続的に育てる学校です。
- 探究科の構造的な授業設計:入門→基礎→実践の段階を踏むことで、無理なく個人探究まで進められる仕組みがあります。
- 社会につながる学び:単なる学びではなく、「誰かのためになる探究」を意識し、実際に成果発表やコンクール参加を通じて社会との接続点が用意されています。
- 受験でも成果を発揮:思考力、表現力、協働力、情報処理力は、難関校入試にも直結しており、多くの合格実績として裏付けられています。
- 生涯にわたる基盤づくり:問い続ける姿勢、調べる力、表す力は、大学・社会・人生の多様な場面で活き続ける普遍的なスキルです。
参考記事
「問い」を持てる中学生は強い —— 武蔵野東中学校の探究科を見て思うこと
最近、話題の武蔵野東学園の話で、個人的に学校・教育関係に興味を持ち、ブログを起ち上げました。
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